2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520247
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
蔵藤 健雄 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60305175)
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Keywords | 最適性理論 / 形式意味論 / 形式語用論 / 中和化 / 随意性 / 表現不可能性 / ロバ文 / 双方向的最適性理論 |
Research Abstract |
初年度は、OTの基本的問題の1つである、随意性の問題を考察した。まず、Otani and Whitman(1991)の「日本語にも動詞移動がある」ということを前提にして議論を構築し、OTで随意性を扱うためには「中和化」という慨念を用いたアブローチが経験的に優れていることを示した。次に、Otani and Whitmanの動詞移動分析に対する反論等を外観し、日本語に動詞移動がないと仮定した場合どうなるのかを議論した。結果的には、中和化を用いるべきであるという結論に至った。 次年度は、OTのもう一つの問題である表現不可能性の問題を扱った。これは、統語論と意味論の接点に関わる領域である。具体的には、英語とイタリア語の多重wh疑問文をとりあげ、Lgcndrc, Smolcnky and Wilson(1998)で提案されたPARSE(wh)という制約を用いた解決案が妥当でないことを、単方向的OT統語論と単方向h的OT意味論、及び、双方向的OTの観点から議論した。 最終年度は、意味論と語用論の接点に関わる問題を扱った。ここでは、いわゆるロバ文における代名詞の解釈を論じた。ロバ文代名詞は、普遍量化的に解釈される場合と存在量化的に解釈される場合がある。Chicrchia(1995)の「意味論ではどちらの解釈も生成できるようにしておいて、どちらの解釈が得られるかは語用論が決定する」という主張に従い、意味論で生成された2つの解釈が候補となり、どちらがより好ましい解釈であるかは語用論的な要請を含む制約のランキングによって決定されるということを示した。そして、語用論制約の1つとして、文が記述する出来事の中で、目的を達成するための手段は最小でなければならないという「最小努力制約」を提案した。
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Research Products
(3 results)