2007 Fiscal Year Annual Research Report
キナウル語の現地調査による記述および形態統語論的研究
Project/Area Number |
16520250
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 慶治 Aichi Prefectural University, 外国語学部, 教授 (20252405)
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Keywords | チベット・ビルマ語派 / チベット・ヒマラヤ諸語 / キナウル語 / 形態統語論 / 動詞形態論 / 関係節 / 再帰・相互形 / 複数性 |
Research Abstract |
本研究は、チベット・ビルマ系言語に属するキナウル語の記述的研究を行うものであり、本課題の最終年度である。 本研究は、現地調査に基づく記述的研究であり、本年度も3月に調査を行った。したがって、2007年度は、まず、昨年度までに収集した資料の整理および分析と、現地調査のための準備を行った。また、昨年度までに集められた資料に基づき、数度にわたって、口頭での研究発表を行った。 本年度の調査においては、前年度に引き続き、動詞の連体修飾について、また、再帰・相互(reflexive/reciprocal)を表す接尾辞-siをもつ動詞の用法、およびいくつかの語彙および発音などを調査した。キナウル語の特徴として、動詞が連体修飾する場合に-siがその動詞に付加される場合がある。このような用例は、もちろん以前の調査においても現れていたが、この-siの機能が明確ではなかった。しかし、この接辞が再帰・相互だけではなく、集合的複数や自動詞化など、一般に中動態と呼ばれる現象の一部を担っていることがわかってきて、連体修飾節で現れる-siの機能についても明らかになりつつある。 なお、動詞接辞-sidは過去を表すが、今のところ、-si+dのようには分析していない。ただし、キナウル語話者の意識としては-siが過去の意味をもつとも考えているようであり、今後検討が必要である。 また、近似した意味を表す-ciという接辞があるが、その使用が非常に限られているため、機能の違いについてはいまだ明らかではない。限られた範囲で言えば、-ciの方が他動性が低いように思われる。
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Research Products
(4 results)