2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本在住英語母語話者の社会言語学的研究-言語接触と方言接触による言語変化と変異-
Project/Area Number |
16520252
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
平野 圭子 The University of Kitakyushu, 外国語学部, 准教授 (60341286)
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Keywords | 社会言語学 / 方言接触 / アコモデーション / ソーシャルネットワーク / 英語方言 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本在住の英語母語話者が出身国以外の英語との方言接触や、非英語母語話者との接触により、言語特性にどのような影響を受け、どのようなバリエーションと変化が言語に現れるか社会言語学的に調査することにある。 平成19年度は昨年度に引き続き、非英語母語圏である日本に在住する英語母語話者のコミュニティー内で観察される方言接触による長期的アコモデーションを検証した。調査対象は'trap'や'back"などの単語に含まれるTRAP母音と、'bath'や'class"などの単語に含まれるBATH母音で、出身地域によって異なる発音方法が、方言接触によってどう変化するか検証した。分析用の言語データは、米国、英国、ニュージーランド出身者ら英語母語話者から、来日直後と約1年後の2度にわたって収集した自然談話を利用した。また日本での交友関係に関する聴き取り調査の結果を基に、それぞれの話者のソーシャルネットワークをスコア化した。 米国出身者の来日直後と日本滞在1年後のTRAP母音とBATH母音の発音を分析した結果、使用頻度に有意な差の生じる変異音が見られた。また話者個人に観察されるそれぞれの変異音の使用頻度における変化は、その話者の様々なソーシャルネットワークの強弱と相関関係のあることが判明した。他の国・地域出身の人とのネットワークの強弱に応じて、その地域に特徴的な変異音の使用が増減する傾向や、自分の出身地域に特徴的な変異音の使用が増減する傾向が見られた。すなわち方言接触によって言語が受ける影響には、話者の交友関係が関与することが明らかとなった。
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