2004 Fiscal Year Annual Research Report
敬語の語用論研究-理論的枠組の構築と用例調査による検証-
Project/Area Number |
16520255
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
滝浦 真人 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (90248998)
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Keywords | 敬語 / ポライトネス / 語用論 / 視点 / 日中対照 |
Research Abstract |
今年度は主として、「研究計画調書」の「研究目的」における、 (i)日本語敬語の用法について、語用論的観点に立った理論的枠組を整備する に添って研究をおこなった。まず、その下位項目である (a)日本の敬語研究史とBrown & Levinsonによるポライトネス理論との接続を図り、 ポライトネス理論の概念装置を敬語論に与えること については次のような成果を得た。 明治以来の敬語研究は、<敬意>の敬語論と<関係認識>の敬語論と呼びうる2つの系譜の対立において捉えるころができる。そしてこの両者の対立は、人間関係における<距離>の表現としての「ポライトネス」の平面において統合することができる。このことを、著書『敬語論の視界』(印刷中)で具体的に論じた。 もう1つの下位項目である (b)その上で、日本語敬語の用法を説明的に記述するのに必要な語用論的観点を抽出・整理し、理論的枠組として整備すること については、久野〓の提唱した「視点と共感度」の枠組みが敬語使用の語用論をとらえるに適していることを、論文「<視点>と<距離>の敬語論----日本語敬語の語用論的記述理論のために----」において論じた(前掲著書にも再録)。 また、「研究目的」の(ii)として掲げたものについても、「対照言語学的な応用の可能性」を探るべく、中国から研究者を招いたセミナーを開催し、中国語のポライトネスに関する専門的知見の提供を受けた。セミナーの概要は以下の通り。 麗澤大学言語研究センター第10回研究セミナー「ポライトネスの類型論への試み」(2004.10.8) スピーカー:母 育新氏(西安外国語大学東方言語学部 助教授) トピック:「中国語のポライトネス-『聞き手の領域』をめぐって-」 問題提起:滝浦真人「『聞き手の領域』とポライトネス-ポライトネスの類型論に向けて-」
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