2005 Fiscal Year Annual Research Report
敬語の語用論研究-理論的枠組の構築と用例調査による検証-
Project/Area Number |
16520255
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
滝浦 真人 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (90248998)
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Keywords | 敬語 / ポライトネス / 距離 / 視点 / 語用論 |
Research Abstract |
本研究の主眼は、語用論的有効性をもった敬語の理論的枠組みを構築することにあるが、今年度は、そうした枠組みが満たすべき条件を整理するとともに、簡潔にして有効性の高いプロトタイプの提案にまでこぎつけることができた。 理論的枠組みの条件として取り出されたのは次の2点である。すなわち、 (1)"日本的特殊"の説明理論ではなく、"普遍"の平面に置くことができるものでなければならない。 (2)"使用"のダイナミズム、つまりその都度の使用において実現される発話効果を捉えられるものでなければならない。 これらの条件を念頭に、日本の敬語研究史の洗い直しと、"普遍"を標榜するブラウン&レヴィンソンの「ポライトネス」理論との接続を図った結果、敬語を対人的な社会的・心理的<距離>の表現とみる枠組みに到達した。さらに、かねて久野によって提唱されていた<視点>の理論をも取り込むことによって、「対人的距離の語用論的調節」を敬語の主機能と捉える理論が構想できた。 こうした成果を、著書『日本の敬語論』および2本の論文として発表したほか、「科研費補助金によるワークショップ『敬語とポライトネス』」(パネリスト:櫻井良樹・大野仁美・中右実の各氏;司会・コメンテーター:千葉庄寿氏;2006年2月7日,於・麗澤大学)において発表した。
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