2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの漢語方言と諸言語の世代差に反映した音韻変化の方向性
Project/Area Number |
16520256
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 光暁 青山学院大学, 経済学部, 教授 (30176804)
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Keywords | 音韻変化の方向性 / 世代差 / 漢語方言 / タイ系言語 / 水語 / カム語 / 東南アジア諸言語 / グロットグラム |
Research Abstract |
2004年8月に中国広西チワン族自治区三江に赴き,海外共同研究者である曽暁渝教授を含む日中合同チームで当地の漢語方言三種(西南官話,六柳話,土拐話)と広義のタイ系言語の一つ・カム語の音韻の世代差を記述した。その結果,それぞれの言語・方言においてかなりの世代差が観察された。 2004年9.月にはタイ・ラオス・カンボジア・ベトナムに赴き,タイ語バンコク方言・ラオス語ビエンチャン方言など主にタイ系言語の音韻の予備的記述を行ったが,やはり若い世代では*t∫>∫のように,音韻変化を経ていると見られる音素が見出された。また,ハノイの北のノイバイでは標準語であるハノイ方言のxに対応する音素としてkhが観察され,これは一時代前の音価を反映するものと見なされる。 2004年12月には中国・天津と北京の接触地帯において,曽暁渝教授の指導する南開大学の大学院生らと共に世代差と地理差を系統的に研究する方法・グロットグラムによる調査を行い,その段階的変容のありさまを記述した。以上の記述的研究の分析は今後の課題として続行する。 当初計画していた中国の延辺における言語調査は諸般の事情により延期した。 また,これまでの音韻の世代差に関する自らの調査結果の分析も進め,2003年8月に中国貴州省茘波で行った漢語西南官話,水語の音韻の世代差に関する調査報告と分析結果を三篇の論文にまとめて公刊した。ほか,タイなどでの資料調査の結果,ラオス語に関する世代差の詳細な調査報告などが出ていることが判明し,また台湾での世代差の調査結果なども含めて,他の研究者による世代差の記述も包括して理論的考察を進めている。
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Research Products
(3 results)