2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニューカレドニアと周辺地域の先住民語の研究-ネク語、ティンリン語の記述を中心に-
Project/Area Number |
16520261
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大角 翠 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (10141293)
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Keywords | ニューカレドニア / ティンリン語 / ネク語 / 音韻・文法記述 / ティンリン語・辞書 / オーストロネシア言語 / 消滅の危機に瀕した言語 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
大角翠(研究代表者)は前年度までのニューカレドニア、ヴァヌアツ、ブーゲンヴィルの現地調査で得られた資料を整理、分析し、この地域の社会言語学的実態について論文にまとめた(学会誌で発表の予定)。更に、各地域の個別言語の概略をふまえ、詳細な文法の記述と語彙集の編纂に取り組んでいる。ネク語は話者数が200人強の、極めて小さい言語であり研究記録もほとんどない。まだ話者が存在するうちに緊急の調査を行い、記録を残す必要がある。 情報の不十分なところ、文法的に調査と洞察を要するところなどを整理し、平成17年8月〜9月、協力者(東京女子大学修士課程、辻笑子)を同行し、ワウェ部落で現地調査を行った。海外共同研究者の大西正幸、協力者のTherese Kemelfieldは10月にブーゲンヴィルの現地調査を行った。ワウェ部落ではウジェニー・ウインベ宅に滞在し、去年まで協力してくれたルイ・ウィンベの他、3名のインフォーマントを得てネク語の聞き取り他を行った。音韻、語彙リストの拡充、文法記述のための会話、ナレーションの録音等を行い、また、チバウ・カナク文化センターの調査に協力して、メア語の収集にも辻が立ち会った。昨年に引き続きジャクリーヌ・ド・ラ・フォンティネル氏等の現地の研究者と会合を数回持った。また、チバウ・カナク文化センターなどで文献資料の調査も行った。シドニー大学でもオセアニア資料の調査を行った。 帰国後、文法現象の中でも幾つかの重要な面を中心にペーパーにまとめ、3月のオセアニア学会で口頭発表、4月のオクスフォード・神戸国際シンポジウムでポスター発表を行った。ティンリン語、ネク語の音声資料の文字化、記述、コンピューター入力作業は何度も直しを加えるなど、非常に困難を伴うものであり、海外共同研究者のBoucqueyによる辞書の仏訳も含め継続中である。
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Research Products
(5 results)