2006 Fiscal Year Annual Research Report
異言語話者による音声の脳内処理に関する音響学的および生理学的研究
Project/Area Number |
16520265
|
Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大岩 昌子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50340360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
軍司 敦子 国立制振, 神経センター・精神保健研究所・知的障害部・治療研究室, 研究員 (70392446)
|
Keywords | 知覚 / 産出 / 周波数 / 聴覚刺激音 / スペクトルグラム / 自律学習用教材 / ピクチャーエイド / 自閉症 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度として主に次の二つの研究を行った。 言語の知覚や産出については、その言語の母語話者と外国語とする話者とでは異なることは周知の通りである。日本語話者による英語のlとrが良い例であり、その知覚、産出には困難が伴う。そこで言語音の一部の周波数を変化させ、聴覚刺激音として聴取させた場合、外国語話者における発音にも変化がもたらせれるか、舌背摩擦音の[R]関する検討を行った。まずスペクトルグラム分析によると、対照群の被験者の多くは摩擦音でなく、英語の[r]あるいは日本語のラ行のような弾音に近い音で発音している事がわかった。一方,実験群の被験者の中には摩擦音として生成し始めているものがいることが明らかになった。また、フランス語母語話者による聴覚心理的分析の結果をt検定で分析したところ,両群に有意な差が認められた(p<0.05)。 日本語、フランス語の各言語話者に特徴的な時間制御に関する実験から得られた知見およびこれまでに行ってきた心理実験の結果を基に、ピクチャーエイド(コミュニケーション支援ツール)を利用した自律学習用教材をフランス語で作成した。同ソフトはもともと言葉がうまく扱えない障害者用(自閉症など)に開発されたものであり、生活のあらゆる場所にある活動手順をアニメや写真と音声によってわかりやすく伝えるためのソフトである。さまざまな場面に合わせて作成した絵に対して、学習者は適切なフランス語を発話し,それを別に録音したモデルと比較できるようになる。外国語教育において豊かなコミュニケーション能力養成のための大きな役割を果たすと考える。
|
Research Products
(2 results)