2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野 尚之 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50214185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (70181526)
上原 聡 東北大学, 留学生センター, 教授 (20292352)
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Keywords | 事象構造 / 認知言語学 / 類型論 / 間接受動文 |
Research Abstract |
研究実績の概要として、平成16年度中に発表した論文の要旨を報告する。 「移動と変化の言語表現:認知類型論の視点から」は、移動事象と変化事象のコード化に見られる言語間の類型的差異について日英語の翻訳作品をデータベースとして論じた。具体的にはTalmy(1985,1991,1996)の提案する言語類型-サテライトフレーム言語と動詞フレーム言語-を移動と変化の表現の分析を通して検討した。問題の類型的違いはこれまで言われてきた移動事象のコード化のみならず、変化事象のコード化にも顕著であることがわかった。両言語は移動事象、変化事象の違いを越えてそれぞれの類型的特徴を示していることがわかる。そしてその偏向性の割合はほぼ同じ傾向にある。 次に、「日本語受身文の事象構造分析」では、「事象構造(event structure)」を意味表示のレベルとして想定することによって、日本語の間接受動構文の統語的・意味的特性を英語の擬似目的語結果構文との平行性において説明することを試みた。小論が提案する事象構造は、Pustejovsky(1991)による事象構造理論とCroft(1991)の因果連鎖を用いた事象分析を結合したものである。 日本語の間接受動構文と英語の疑似目的語結果構文について(i)間接受動構文のニ格名詞が義務的であることと結果構文の目的語が義務的であることは複合事象構造の同定という統語構造とのインターフェイスにおいて説明されること、(ii)両構文に非対格動詞が生起しないと言われているが、実際は非対格性の問題ではなく、複合事象の成立要件が問題であること、(iii)両構文に含意されている構文的意味の「被害性」は、事象構造における「意味の補給」という観点から説明されることを論じた。
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[Book] 生成語彙意味論2005
Author(s)
小野尚之
Total Pages
235
Publisher
くろしお出版
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より