2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520297
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩倉 國浩 広島大学, 総合科学部, 教授 (90021906)
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Keywords | 小節 / 空のT / EPP素性 / 主語 / 述語名詞類 / 虚辞のthere / θ位置 / 受け身動詞 |
Research Abstract |
小節に主語と述語という二つの構成素から成り、主語と述語がそれぞれの位置に基底生成されて形成される。しかし、小節の述語が受け身動詞の場合、受け身動詞の補部が主語位置に移動されて小節が形成されることが知られている。ミニマリスト・プログラムの枠組みの中で、移動を引き起こすのは解釈不可能素性であるから、小節は空の主要部を持っていて、その主要部が解釈不可能素性を持っていると考える必要がある。本研究では、小節が空のTの投射であり、空のTはφ素性([人称]、[数]、[性])とEPP素性を持っていて、随意的に格付与特性を持っていると考える。このTP分析により、受け身動詞の補部が小節の主語になりうること、小節の主語がwh移動も名詞句移動も受けられることを説明することができる。虚辞のthere構文とそれに対応するthere無し構文が小節を含む構造から派生されることが知られているが、TP分析により、その両方の構文を適切に派生することができる。述語名詞類が格を持っていると考えれば、「名詞類は格を持っている」という一般化を保持しながら、述語名詞類を含んでいる小節構文や繋辞文を派生することができる。 虚辞のthereは定形節や不定詞節の主語位置に生起できるが、小節の主語位置に生起できないことが知られている。小節の述語が受け身動詞でない場合、小節の主語位置がθ位置であることを明らかにした。小節の述語が受け身動詞でない場合、虚辞のthereはθ位置に生起できないから、小飾の主語位置に生起できない。小節の述語が受け身動詞である場合、小節の主要部TのEPP素性により受け身動詞の補部が小節の主語位置に移動して、小節の主語位置に虚辞のthereが小節の主語位置に生起できない。以上のことから、小節の主語位置に虚辞のthereが生起不可能であることを説明できることになる。
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Research Products
(3 results)