2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 永幸 徳島大学, 総合科学部, 教授 (10232547)
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Keywords | 英語シノニム / 英語類義語 / コーパス言語学 / 英語語法研究 / 英語辞書学 / 意味論 / 語用論 |
Research Abstract |
井上(2005)では,シノニムの一形態である変異形を学習辞書記述の観点から取り上げた。コーパスを辞書編集に使うようになると,通常は文法的に非文とされる形も出てくる。教育現場で使うことが想定されている学習辞書において,非文をどのように扱うかはそのターゲットユーザーがだれであるかを考慮すべきである。 例えば,not only A but (also) Bの構文ではalsoが選択的であるとされることが多い。コーパスを検索してみると,butのみが続く形が4割ほどで最も多く,alsoのみが続く形は2割に満たない。尤も,butもalsoもいずれも続かない形が4割近くあることも見過ごすことはできない。今後,記述の改善が望まれる。 次に代名詞の単複呼応について,each of themを例に検討している。規範的には単数呼応だが,Celce-Murcia, Larsen-Freeman and Williams (1999:65-66)が示すように,母語話者のアンケート結果を見る限り,単複どちらも可能といった印象を受ける。ところが,コーパスの検索結果を見ると,複数呼応はまれであることがわかり,学習辞書や教育現場の立場としてはあくまで単数呼応で対応しておけばよいことがわかる。また,母語話者の意見は個人的な意見にすぎず,必ずしも常に教育的に適切であるとは限らないことも教訓として得られる。 最後に,to不定詞の否定形についてとりあげる。not to doとすべきでありto not doとすべきではないとされるものの,語法参考書などではto not doの形を英米の母語話者でも強意で時に用いることが指摘されている。コーパスを検証してみると,98%ほどがnot to do,2%弱がto not doといった具合で,not to doの方が圧倒的に多い。外国語として英語を学ぶ立場としてはnot to doとしておくに越したことはない。 変異形は,学問的には面白い現象でついつい大きく扱いがちだが,実際にはそれほど数は多くなく,学習効率という面ではあまり強調しすぎない方が賢明であろう。
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Research Products
(1 results)