2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520298
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 永幸 徳島大学, 総合科学部, 教授 (10232547)
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Keywords | 英語シノニム / 英語類義語 / コーパス言語学 / 英語語法研究 / 英語辞書学 / 意味論 / 語用論 |
Research Abstract |
井上(2005)では,コーパスに基づく研究成果をどのように英語学習者の基礎教材である英和辞典に取り込んでゆくかを実例を示しながら取り上げた。辞書編集におけるコーパス活用の一般的な有効性と問題点を論じた後,辞書編集に要求されるコーパス構築の要点,また,ESL/EFL(English as a Second/Foreign Language,第2言語/外国語としての英語)向け辞書ならではの注意点を指摘した。 次に,コーパスを活用することによって,具体的にどのような分析や情報提示ができるようになるかを示した。学習効率を上げることに貢献する見出し語の頻度情報,語義や用例の頻度順提示,頻度を基にした語義・用例・コロケーションの選択は言うに及ばず,aroundとround, come in Aとcome into Aといったペアを例にシノニム〔類義表現〕・語法記述の可能性,breakfast in bedやroll up one's sleevesといった表現を例に文化的・語用論的記述の可能性,womanを例にPC〔political correctness,(差別的表現排除のための)政治的妥当性〕表現の実情記述の可能性を示した。また,日常的な決まり文句である句表現(phraseology)は,成句やコロケーションといった範疇だけでは捉えきれない上に,その性質上辞書編集のための記録資料として残ることが少なく,しかも母語話者にとっては当たり前の表規であるので学習辞書でさえこれまではしばしば無視されてきた。コーパスを活用すれば非母語話者でさえもこれらの表現を母語話者による辞書に先駆けて記述することができることを示した。 井上(2005)以外では,what S V is (to) do(SがVすることは…することである)のtoの出没,(前)の後に生起するwho(m),その他のシノニム・語法を研究準備中である。 井上永幸(2005)「英和辞書セミナー:『ウィズダム英和辞典』」,第1回英語語法文法セミナー〔2005年8月2日(火),於:大阪市立大学文化交流センター〕.
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