2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520300
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西岡 宣明 九州大学, 大学院人文科学研究院, 助教授 (80198431)
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Keywords | Po1P / 多重wh疑問文 / Agree / 介在制約 / ミニマリスト・プログラム |
Research Abstract |
今年度は、最終年度であるため過去2年間で考察してきた英語と日本語を中心とする否定文に関わる論考をまとめた。具体的には、従来のNegP分析に代わるものとして提案したPo1P分析が、否定対極表現の認可、部分否定にとって有効であることをこれまで示してきたが、この分析は、多重wh疑問文分析や日本語の否定文と否定一致現象に関しても応用できることを明らかにした。そして、これらの個々の具体的分析を総括し、全体として本分析で提案するPo1P分析の妥当性を実証した。本研究により明らかになった点と文法理論的貢献は、以下の通りである。 1.英語の否定文の節構造に否定機能範疇NegPを想定する従来の分析は正しくない。 2.節構造のTPの上位に機能範疇のPolの投射を想定し、文中の否定要素とPolとの統語的matching(Agree)の結果、Polが否定素性を獲得することにより否定文として認可されるとするPo1P分析が妥当である。 3.Po1P分析において重要な役割を果たす、Agreeと介在制約は、否定のスコープ、文否定と構成素否定の区別、部分否定、日本語のwh...-mo構文、英語の多重wh疑問文においても働いている一般的統語メカニズムである。 4.これらの理論的メカニズムに基づくミニマリスト・プログラムの理論的進展は正しい。 これらの研究成果は、西岡(2006a)、西岡(2006b)として発表した他、研究成果報告書にまとめた。
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Research Products
(2 results)