2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16520303
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
島村 礼子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80015817)
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Keywords | 形態的緊密性 / 項構造 / 項の継承 / 「語^+」 / 語と句の区別 / 動作主 / 意味役割 |
Research Abstract |
本研究ではまず第一に、英語の動作主を表す接尾辞-erの付いた派生語について、この接尾辞の意味と機能を考察した。この接尾辞の付いた派生語の基体が動詞である場合、動詞の項構造が継承され、統語構造に投射されて(他動詞の場合には)動詞の目的語がof句の形で派生語の外に具現される場合と、そうでない場合とがある。このことはすでに先行研究で指摘されていることであるが、本研究では、後者は前者が語彙化されてレキシコンに記載されたものに相当するということを提案した。接尾辞-erは英語においてひじょうに生産的な接尾辞であるが、動作主を表す他の接尾辞はおそらく項の継承を認めないと考えられ、項の継承の可否は接尾辞の性質と密接に関係することであると考えられる。第二には、研究者はすでにShimamura(2003)において、英語やオランダ語の「形容詞-名詞」形が複合語の内部に生起する場合にはこの形のいくつかはKageyama(2001)の指摘する「語^+」という形態範疇に属するということを指摘したが、本研究では、英語の複合語だけではなく派生語においてもこの形はこの形態範疇に属するという主張が成り立つことを主張した。さらに、いくつかの統語規則は上記の形態範疇に属する形の一部に言及することはできないという意味では、この形は語の形態的緊密牲を維持しているといえるが、しかし別の一部の統語規則はこの原理に違反してこの形の内部を「見る」ことができる、ということを指摘し、その上で、これら2種類の統語規則の特徴を明らかにした。第三に、語の形態的緊密性について、これまでの先行研究を整理する形で、この概念について概説した。上記第一の研究はすでに平成17年5月に日本英文学会大会におけるシンポジュームで口頭発表し、これら三つの研究はすべて平成18年中に本と事典において発表する予定である。
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