2006 Fiscal Year Annual Research Report
学際的アプローチによる大学生の講義理解能力育成のためのカリキュラム開発
Project/Area Number |
16520319
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西條 美紀 東京工業大学, 留学生センター, 教授 (90334549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 文啓 桜美林大学, 文学部, 教授 (70184059)
石黒 圭 一橋大学, 留学生センター, 助教授 (40313449)
佐久間 まゆみ 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (30153943)
藤村 知子 東京外国語大学, 留学生センター, 助教授 (20229040)
渡辺 文生 山形大学, 人文学部, 助教授 (00212324)
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Keywords | 講義の表現特性 / オンラインの構造 / 反復表現 / メタ言語表現 / 講義の理解 / ノートテーキング / 談話構造図作成法 / 情報伝達単位 |
Research Abstract |
日本の大学で行われている文系の概論の講義(講義者は30代、40代、50代男女ひとりずつ)の表現特性、受講者の受講中のノートテーキングを中心とした行動、理解のプロセスを表すものとしてのノートと理解した結果を表すものとしての理解課題の分析を終えた。分析の単位は情報伝達単位とした。その結果、以下のことがわかった。 1)講義は講義者があらかじめ授業前に用意してくるプランに由来する構造(課題設定、用語め規定、用例・事例解説、まとめの順による配列)と授業中に学生との相互作用によって生まれるオンラインの構造化が同時に生成されながら進行することがわかった。 2)このオンラインで講義の構造が作られる部分は、講義者が学生の様子を見ながら講義の内容と伝達の方法を変化させる部分で生じ、講義者が最も伝えたい内容である。 3)そこで使われる表現特性として引用表現、反復表現、参照表現、メタ言語の使用が挙げられる。 4)受講生のノート等の分析によっても、これらの表現の前後の内容がよくノートに残る傾向があった。 5)講義はプランの構造とオンラインの構造のふたつが同時進行していく談話であるので、講義の情報には、重要な情報が集中するいわば山の部分と、情報をつなぐ役割をする谷の部分がある。これは講義の分析からも受講者のノートの分析からも裏づけられた。 6)これらのことを踏まえて、大学に入学した初年度学部留学生が学部の概論の授業を理解するためのカリキュラムとしては、プランとオンラインの両方の構造をマークする表現特性について教示して、次に来る内容を予測しながち講義を聞くように指導することが有効である。 6)さらに、理解したことを記述するレポートの書き方の指導、自分のノートから内容を再話させる練習、講義の構造を図示して示す談話構造図作成法によるノートテーキングの練習なども講義の理解表象を精緻化させるのに役立つ。 これらの知見を生かして学習者の講義理解能力を育成するためには、上述の二種の構造がさまざまな組み合わせで現れている30分程度の長さの講義材料を作成して指導に用いるのか有用であることが示唆される。今後の課題としたい。
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Research Products
(2 results)