2004 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害学生の音声分析と体感音響システムを活用したASLの習得に関しての研究
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16520370
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences Junior College |
Principal Investigator |
鈴木 薫 名古屋学芸大学短期大学部, 言語コミュニケーション学科, 講師 (20221319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 正喜 愛知学院大学, 教養部, 教授 (50106019)
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Keywords | 国際情報交換 / 韓国 / 聴覚障害 / 英語教育 / 音声分析 / 体感音響振動システム / ASL / 聾学校 |
Research Abstract |
国内での聴覚障害者の英語教育に関する実態調査として、6月〜12月に、5校の聾学校において、アンケート調査・授業見学・教員からの聞き取り調査等を実施し、単純集計まで終了している。 海外での調査については、ソウル大学の海外共同研究者の協力を得て、2月〜3月に2回韓国を訪問し、1校の聾学校でのアンケート調査・授業見学・教員からの聞き取り調査を実施した。この2度の訪韓の際に、平成17年11月に高知大学で実施する国際シンポジウムについての打ち合わせも行った。 日本人聴覚障害者の英語発音の音声分析と体感音響システムの活用についての実験は、予定していた日本福祉大学での調査が研究協力者の都合により実施できなかった。その代わりに、名古屋学芸大学短期大学部で開催された聴覚障害者英語集中セミナーと、聾学校でのフィールドワークにより、データを収集し、分析を行っている。 ASL(アメリカ手話)については、日本人聴覚障害者のASL使用者の協力を得て、英語や日本手話との比較研究を進めている。 本来の研究目的である「聴覚障害者のグローバルなコミュニケーション手段が英語音声学習ではなく、ASL習得にあることを明らかにする」ということに関して、調査を重ねていくうちに、聴覚障害者たちは、障害の程度や生活環境などによって求めるコミュニケーション手段がそれぞれ異なることが判明した。英語音声とASLの比較よりも、英語とASLの関係の方に問題があり、英語での読解力や文章表現力を身につけることとASL習得には隔たりがあることから、英語もASLも学習することは、2つの外国語を学習することに等しく、聴覚障害者にとって負担が大きいことが明らかになった。さらに、聾学校の教員は教科としての英語教育の専門家であり、ASLを教えるための十分な研修を受けるチャンスがないことも問題となっている。
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