2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520393
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
白川部 達夫 東洋大学, 文学部, 教授 (40062872)
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Keywords | 頼み証文 / 頼み意識 / 委任契約 / 民衆意識 / 民衆思想 / 社会意識 / 社会的結合 |
Research Abstract |
本年度は、史料収集を中心として研究を進めた。近世民衆の頼み意識研究の手がかりとして頼み証文収集を継続的に続けているが、平成8年以降に出版された自治体史史料集を網羅的に検索して頼み証文を収集した。作業は主として明治大学図書館所蔵の自治体史史料集を中心に行い関東・甲信越地域の検索とスクラップ整理を終了した。結果、関東地域では約90点、甲信越地域では20点の頼み証文について、その関連史料を含めて収集することができた。また栃木県史料所在目録から目録ベースの頼み証文の所在確認を行った。現地調査は、栃木県立文書館、長野県中野市の調査及び、横浜開港資料館、川崎市公文書館の調査を行いそれぞれ写真撮影・コピーなどで頼み証文を収集した。その一部は「頼み証文と民衆社会」(『歴史評論』653号)として発表した。 頼み証文の前提となる頼み意識史料については、頼み証文の網羅的調査が予想を超えて大部になったため進捗が遅れているが、古典文献では『源氏物語』『今昔物語』の物語文学や『保元物語』『平治物語』の戦記物などの索引を収集整理した。また近世では『河内屋河正旧記』から頼み意識に関わる史料を網羅的に抽出した。網羅的検索は作業が大部になるので、作品を効果的に絞る必要が出てきている。そこで今年度は日本思想大系に収録された作品などを中心に収集整理を進めることを考えてみたい。また17世紀までの文献を中心に収集を強化して、主要な史料については頼み証文とともに、報告付属史料集としてまとめる作業を予定している。
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