2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における西洋農業の技術・システムの導入とその定着過程の研究
Project/Area Number |
16520409
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
國 雄行 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (60234457)
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Keywords | 泰西農法 / 西洋農業 / 農区 / 様式農具 / 農商務省 / 殖産興業政策 / 農会 / 官営農場 |
Research Abstract |
本年度は、まず第一に、東京都公文書館所蔵の文書を調査し、農業関係の史料を収集した。とくに東京府が内務省との関連で構想していた農政を分析することに重点をおいた。その結果、東京府における「内務省往復留」などの史料を中心に収集した。 第二に、明治初期の内務省設立以前の農政を調査するために、諸官庁が発布した法令を調査した。具体的には太政官、大蔵省、民部省などの法令を収集した。『法令全書』や『法規分類大全』などから、関係法規を調査した。 第三に、本研究の課題である西洋農業システムの導入を考察する際に、東洋農業システムがどのように捉えられていたのかという点について、農政にかかわったお雇い外国人の中で、東洋人教師を事例として分析した。サンプルとして茶業とフ孵卵業をあげた。 以上の成果を述べると、第一の成果として、明治初期の東京府の農政としては、徳川氏に関わる士族が移転した跡地をどのように利用するか、という点について議論されていることが判明した。すなわち、明治初期農政はまず土地利用の決定からすすめられていたようである。 第二の成果として、失業した士族や時代の転換により没落した民のために、開墾政策が講じられていたということである。この点についてはすでに士族授産研究としての視角から指摘されているが、本研究では、農政としての視角から分析していきたい。 第三の成果としては、明治初期農政としては、必ずしも西洋農法に傾倒していたわけではなく、東洋農法、とくに中国農法に着目していた点を明らかにした。しかし、お雇い中国人の給料は、西洋人に比して圧倒的に低いことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)