2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における西洋農業の技術・システムの導入とその定着過程の研究
Project/Area Number |
16520409
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
國 雄行 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (60234457)
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Keywords | 泰西農法 / 西洋農業 / 農区 / 洋式農具 / 農商務省 / 殖産興業政策 / 農会 / 官営農場 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、東京都公文書館所蔵の文書を調査し、農業関係の史料を収集するとともに、これらの史料をもとに論文を執筆した。 この論文では、西洋農業の技術・システムが導入される契機となった、明治初期の民部省における勧農政策を、開墾を中心に分析した。行論上、民部省が勧農政策を実施した時期を前後期に分けて分析した。前期は民部官〜民部省開墾局期(明治2年5月〜同3年9月)で、国政と密接に関係する東京府の政策にも着目して開墾政策の実態を分析し、後期は民部省勧農局〜同開墾局〜同勧業局期(明治3年9月〜同4年7月)で、士族開墾の推進から欧米農業が志向される道筋を分析した。 民部省前期の開墾政策は、治安維持という緊急性を帯びていたため性急で正確さを欠いていた。例えば下総開墾は棄民政策としての実効はあったが、邸宅地跡の桑茶植付策は挫折した。また、全国の開墾を補助しようとした岡田貢の著した『無水岡田開闢法』の配布も、予期した成果をあげなかったようである。 民部省後期の開墾政策では、士族の禄制改革進行により士族開墾が重要視され、これを援助するために欧米農業の試験的導入がはじめられた。荒蕪地開墾という性格からアメリカ農業が導入されるが、決して政府が在来農業を無視したわけではなく、在来農法にも着目し、牧畜業の全国調査が行われた。 本年度では、明治初期民部省の勧農政策の分析に重点をおいたが、この民部省が着手した各種の政策は、廃藩置県後、大蔵省によって改廃されていくのである。これら大蔵省期の勧農政策については次年度に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)