2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 香織 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (10272121)
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Keywords | オスマン帝国 / 海軍 / 海運 / エスニシティ / 地域性 / ムスリム / 黒海 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々の「エスニシティと地域性」を分析することにより、オスマン帝国末期の社会構造を「ヒト」を核として捉え直そうとすることである。具体的には、海洋活動を、(1)官営汽船、(2)民間海運、(3)海軍の3つのカテゴリーに分類し、それぞれについて「ヒト」の記録を出来るだけ丁寧に掘り起こすというものである。本年度重点を置いたのは(1)である。現地調査を行い、トルコ海運公社が所蔵する『給与台帳』史料のうち126〜128巻の3冊を閲覧することにより1911/12年度分のデータをとることができた。また新たに1905年度分に相当するデータが107、108巻に収められていることを確認したため、次回の調査で記録することにした。これらを分類・整理して、海運業にたずさわった人々の地域性を明らかにするためのデータ・ベースを構築する予定である。また、イスタンブルの海軍博物館付属歴史文書館において(3)に関する予備調査を行った。その際近代オスマン海軍の人事記録に関して相当量の史料の存在を確認し、一部データの収集に着手した。これに関しては、平成17年度以降本格的に調査する。本年度の成果は、まだ史料収集の段階にあるため論文とするには至っていないが、(3)のテーマについては、19世紀初頭のバルカンの非ムスリムの徴兵拒否問題に関する史料を検討し、オスマン海軍のエスニシティに関する過去の研究成果を本研究テーマとつなげるかたちで雑誌論文にまとめ、『歴史人類』誌上で発表した。
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