2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520412
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 香織 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (10272121)
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Keywords | オスマン帝国 / 海軍 / 海運 / エスニシティ / 地域性 / ムスリム / 黒海 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々の「エスニシティと地域性」を分析することにより、オスマン帝国末期の社会構造を「ヒト」を核として捉え直そうとすることである。具体的には、海洋活動を、官営汽船と海軍それぞれについて「ヒト」の記録を出来るだけ丁寧に掘り起こすというものである。本年度は平成16、17、18年度に引き続きトルコでの一次史料の収集を行うとともに、最終年度としてのデータの整理と分析を行った。 官営汽船に関しては、トルコ海運公社が所蔵する『給与台帳』史料のうち官営汽船が「特別局」の名の下に運航していた1876年から1910年までのすべての台帳に目を通し、データ・ベースを構築するとともに、総目録を作成した。民間海運との比較を試みるため、昨年度に続いて総理府オスマン朝文書館所蔵の『船舶運航許可台帳』から、近世における黒海航路商船の船長の出身地と乗組員のムスリム、非ムスリムの内訳にかんするデータを収集した。海軍については、イスタンブルの海軍博物館付属歴史文書館所蔵の近代オスマン海軍の人事記録の調査を継続した。本年度も昨年度に引き続き、総カタログから海軍軍人の出身地にかんするデータの抽出作業を行い、数値データの集計と分析を行った。 以上の結果、4年間の研究期間に収集した史料、文献、情報を分類・整理してデータ・ベースを構築し、その内容を成果報告書に取りまとめた。また、その一部は学会発表の後、学術論文として公表する予定である。
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