2005 Fiscal Year Annual Research Report
アブー・イスハーク・イブラーヒーム文書集の体系的調査によるアッバース朝行政の研究
Project/Area Number |
16520417
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清水 和裕 神戸大学, 文学部, 助教授 (70274404)
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Keywords | 西アジア / アッバース朝 / 行政史 / 歴史学 |
Research Abstract |
初年度の研究作業は、その実施計画に従って以下のように進行した。 1.カイロ国立図書館所蔵写本6点(1466,1512,mim116,Adeab Taymur1027,zay42319,zay18844)を入手し、その内容の確認を開始した。これらの写本はいずれも先行研究で用いられていないものであり、その内容を十分検討することにより、新たな知見を得ることが期待される。 2.上記に加え、これまでに入手した諸写本の内容の点検を行い、既存の校訂本および先行研究による写本データの報告と手元に存在する写本の比較対照作業を進めた。写本群の内容が、当初予想していたよりもはるかに複雑に入り組んでいたため、作業には多くの時間がかかっている。しかし、これによって特定の文書の錯誤の発見など、先行研究を修正すべき部分が多く発見されている。 3.これらの成果の一部をもとに、二度の研究報告を行った(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所イスラーム写本・文書資料の総合的研究プロジェクト研究会報告「アブー・イスハーク文書集写本とアッバース朝行政」平成17年7月23日、日本オリエント学会第47回大会報告「アブー・イスハーク文書集の概要と一文書様式に関する考察」平成17年10月30日)。報告においては、(1)アブー・イスハーク文書集の歴史史料論的性格を明らかにするとともに、(2)その具体的な研究成果の例として、カリフによる任命文書の特定の様式を確定し、(3)その様式のなかの顕著な特徴が、アブー・イスハーク本人によって導入されたであろうことを明らかにした。また、昨年度来準備中であった単著の執筆に際して、現在までの作業から得られた知見を一部用いた。 4.同時に、必要な工具書や文書関係の図書を購入し、神戸大学人文系図書館に備品として設置した。
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Research Products
(4 results)