2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植村 泰夫 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40127056)
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Keywords | 住民煙草 / ケドゥー / レンバン / バージニア煙草 / 刻み煙草 / クドゥス / クレテック煙草 / サマラン・ジョアナ蒸気軌道 |
Research Abstract |
本年度は、ジャワにおける住民煙草栽培の地域的偏差を歴史的に解明することに1つの重点をおいたが、中ジャワ山間部のケドゥー地方は既に18世紀には栽培中心地であり、19世紀初めにはバニュマスとともに最大の産地だったこと、1910年頃にはこの地方のウォノソボ、トゥマングン、マゲラン県では適地がほぼ全て煙草栽培に利用され拡大の余地がなかったこと、これに対して20世紀におけるもう1つの栽培中心地レンバンの栽培は19世紀半ばから発展したこと、特に1930年代には新たにバージニア煙草の栽培が導入され、それが急拡大したこと、ブスキにおける栽培の発展は農園煙草が契機となっていること、マドゥラ煙草の発展は1930年代以降本格化することが明らかになった。ケドゥー煙草の場合、既に1810年代には20世紀と全く同じ栽培・加工方法がとられており、製品である刻み煙草は既に18世紀からジャワ外へまで移出されていた。なお、西ジャワはプリアンゲルを除くと栽培は皆無であり、プリアンゲルの栽培も歴史が比較的新しい。 ケドゥー煙草は1910年代後半期にクドゥスのクレテック煙草産業が発展すると、その最大の原料煙草となった。この結果、従来はスマラン、プカロンガンを経由して荷車やプラウ、スマラン・チェリボン蒸気軌道で西ジャワ、さらには海上輸送でボルネオに向かっていたこの煙草の多くが、サマラン・ジョアナ蒸気軌道経由でクドゥスへ向かったと予測し、昨年夏にオランダ国立文書館で同軌道会社文書を調査収集したが、今までのところ、十分なデータを得るには至っていない。ただ、同軌道の米輸送の実態の検討を通じて、中ジャワから東ジャワに至る地域の物流のイメージはつかむことができた。また、従来はソロ河や沿岸航行によってスラバヤ方面やボルネオへ運ばれていたレンバン煙草が、この軌道の開通後にはそれを利用するようになったことも明らかになった。
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Research Products
(3 results)