2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520418
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植村 泰夫 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (40127056)
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Keywords | 製品煙草 / トゥバン / セラユダル蒸気軌道会社 / ストローチェ / 内地市場向け栽培 / ケルフ / オランダ国立文書館 / 手巻きシガレット |
Research Abstract |
昨年度のケドゥー煙草の生産構造分析を踏まえて、本年度は(1)その流通のあり方、(2)流通に影響を与えたと考えられる製品煙草の生産・消費状況、(3)ケドゥー煙草のライバルの1つであるトゥバン(レンバン理事州)の煙草産業についその検討を進めた。(1)については、8月に実施したオランダ国立文書館での調査で、セラユダル蒸気軌道会社文書の中に「煙草輸送」に関する膨大な手書き史料を見つけ、写真撮影した。現在その分析を進めているが、19世紀末のこの蒸気軌道開通によって中ジャワ山間部産煙草の西向き輸送が、従来の北海岸沿いからこの軌道利用へ変化したことはほぼ実証できたと考えている。(2)については、「植民地後期ジャワ製品煙草研究序説」で論じた。ジャワでの製品煙草製造開始は1850年代前後だが、"その本格化は1910年代であり、輸入シガレットと現地産シガレット、ストローチェが激しい競争を演じたこと、1930年代には恐慌の影響で高価な輸入シガレットは激減し手作りシガレットとストローチェが激増したが、さらに安価な手巻きシガレット、手巻きストローチェの挑戦をうけたこと、などを明らかにした。(3)は「植民地後期トゥバンにおける住民煙草産業」で論じた。この地域でも19世紀後半には広範に行われていたヨーロッパ市場向け煙草栽培は次第に衰退し、19世紀末以降、基本的には内地市場向け栽培へと特化していった。ケドゥーと比べて水田裏作、畑地裏作が多いという違いはあるが、栽培方法やケルフへの加工法は同じである。ケルフの販路としては近隣諸地域の他、ボルネオやシンガポ0ルへ送られる他、一部は地元でトゥバン葉巻の原料として消費されており、ケドゥー煙草と販路を棲み分けていたことが特徴として指摘される。なお、予定していだプリアンゲルの煙草生産の検討は、今後の課題として残った。
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Research Products
(2 results)