2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520418
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植村 泰夫 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 教授 (40127056)
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Keywords | バトゥール煙草 / レンバン煙草 / プカロンガン / バクル / ヴァージニア煙草 / クレテック・ストローチェ / 鉄道・軌道開設 / 輸送ルート |
Research Abstract |
本年度は、(1)中ジャワ山間西北部で生産されるバトゥール煙草の生産と地域経済に占める意味、(2)中ジャワ山間地域産煙草最大のライバルだったレンバン煙草の生産と流通、(3)中ジャワ山間地域産煙草の流通経路、の3点を、相互に関連づけて解明することを目指してきた。(1)では、畑地でトウモロコシと輪作し大量の肥料を投入して栽培され、ガランガン煙草に加工されるこの地域の煙草は極めて良質で評価が高く、その取引にはプカロンガンなどからジャワ人商人も参入したが、支配的な地位を占めたのは華人商人で、バクル(地元のジャワ人商人)を介してして買付けをおこなったこと、煙草栽培はそれ自体が有利だったことに加え、肥料をとるための家畜飼育も利益を生んだ結果、煙草栽培は地域経済の豊かさの源泉となり得たことを明らかにした。(2)では、強制栽培制度期から1930年代のヴァージニア煙草導入に至るこの地域の栽培の歴史を振り返り、住民は内地市場向けとヨーロッパ市場向け加工を市況により主体的に選択してきたこと、移輸出には華人商人とヨーロッパ商社が大きな役割を果たしたこと、主要な内地市場はインドネシア群島東部にあり、中ジャワ山間地域産煙草とは従来、布場の棲み分けが見られたが、クドゥスにおけるクレテック・ストローチェ産業の発展により競合関係に入り、1930年代になるとレンバン煙草は撤収を余儀なくされ、ヨーロッパ市場向け煙草も不振に陥ったこと、その意味でこの時期に導入されたヴァージニア煙草は救世主の役割を果たしたこと、を指摘した。(3)では、4年に亘るオランダ国立文書館での調査により、ようやく必要な史料を収集することができた結果、中ジャワ山間地域産煙草の輸送ルートが鉄道・軌道開設、クドゥスのクレテック・ストローチェ産業発展を契機にどう変わっていったかを、現在投稿中の論文で明らかにした。これらはいずれもジャワ地域経済史研究に寄与する研究だと考えている。
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Research Products
(2 results)