2005 Fiscal Year Annual Research Report
明清時代の広東珠江デルタにおける儒教化の潮流と宗族
Project/Area Number |
16520423
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 徹 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20213168)
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Keywords | 儒教化 / 都市化 / 宗族 |
Research Abstract |
本年度は、初年度の作業を踏まえて、下記の作業を行った。箇条書きにしてまとめておきたい。 1、昨年度末に刊行した井上徹・遠藤隆俊共編『宋-明宗族の研究』(汲古書院)において、元明時代の宗族に関する日本の研究を総括し、問題点と今後の展望を示した。本年度は、その成果に基づいて、ミネソタ大学歴史学部において「Japanese scholarship on Chinese lineages during the Yuan-Ming Periods」と題する発表を行いアメリカの研究者と意見を交換した(平成17年9月)。この発表と討論を通じて、宗族研究の国際的な水準を確認した。 2、本計画が掲げる儒教化の潮流は、広東の都市化や国際貿易の発展とも密接な関係をもつ現象である。そこで、「マカオ貿易と広東社会-郷紳の問題に関連して-」(弘前大学研究集会「歴史・言語・思想-明清交替期(16th〜18th)の東アジアと西洋との遭遇」、2005/10/28)、及び「明代広東における沿海地域の秩序変動」(大阪市立大学COEシンポジウム「中国沿海地域における都市と国家及び地方秩序」、2006/3/11)、この二つの研究発表を行って、海外貿易にリンクする広東社会の開発、商業化・都市化の進展が、儒教化の大きな背景となっていたことを提示した。また、都市化の歴史的意味を問うために、雑誌で「中国都市の時空世界」と題する特集を組んだ(「研究発表」参照)。 3、本研究では、裁判資料『盟水斎存牘』の活用を重視している。本年度は、定期的に研究会を開いて、関連する文書を読解する作業を進めるととともに、デジタル化して、史料を整理した。また、地方志、文集など、関連の文献を収集した。
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Research Products
(2 results)