2005 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末イスタンブルの演劇空間-都市社会史の視点から-
Project/Area Number |
16520425
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
永田 雄三 明治大学, 文学部, 教授 (20014508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 ひかり 立命館大学, 文学部, 助教授 (70319490)
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Keywords | イスタンブル / 演劇 / ポスター / 近代化 / ヨーロッパ |
Research Abstract |
1、本研究の基礎作業である合計170点のポスターおよびプログラムの劇団別および劇場の所在地別の2種類のデータベース化とアルメニア語およびギリシア語による記述部分の翻訳作業を完成し、それに基づく分析の結果、以下の研究成果が得られた。 (1)劇団の形成と解体が頻繁で、これは演劇に対する中央政府による支援と監視・言論統制による。つまり演劇活動が政治情勢に大きく左右されていることを示している。 (2)アルメニア系の俳優と監督が極めて重要な役割を果たしている。これはイスラム教徒、とりわけ女性の役者としての出演が不可能であったことに関連している。 (3)演目はアルセーヌ・ルパンのような舶来物とオスマン物に大別できる。前者はイスタンブルがロンドンなどとならぶヨーロッパの主要な演劇都市であったことを示している。 (4)資料における「パリのダンサー」「イタリア仕込みのコント」「プラハ帰りの女優」といった文面から、役者たちの観点からも、ヨーロッパとの連続性、一体性が確認される。 (5)資料における店舗の宣伝文の文面から「フランス製の洋服」などヨーロッパのニューモードが流入していたことが観察され、都市社会史の観点から重要なデータである。 2、本研究の資料となったコレクションは、演劇史の観点から世界的にも貴重なものである。 3、以上の研究成果は、メティン・アンド著『トルコ演劇史』(トルコ語)の翻訳作業と連動させてポスター資料の分析を行ったことによるところも大きい。
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Research Products
(3 results)