2006 Fiscal Year Annual Research Report
前4世紀初頭を中心としたローマと西地中海世界の政治的・文化的関係に関する研究
Project/Area Number |
16520440
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
毛利 晶 神戸大学, 文学部, 教授 (60174330)
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Keywords | ローマ共和政 / カエレ / カルタゴ / リウィウス |
Research Abstract |
実績報告書 今年度は今回のプロジェクトの最終年にあたるので、過去2年間の研究成果をまとめると共に、その過程で新たに必要となった文献及び史料を収集することを中心に計画を立て、以下の実績をあげた。 1.「ムニキピウム」の起源に関する論攷(「古代ローマのmuniceps -古代の学者が伝える定義の解釈を中心に-」)を完成させて『史学雑誌』に投稿した(第116編第2号に掲載)。更にローマによるエトルリア人都市カエレの併合とcivitas sine suffragio(投票権を伴わない市民権)の起源を扱った論攷を現在執筆している。 2.2006年8月31日から9月12日まで、資料収集のためローマとミュンヘンに出張した。ローマではドイツ考古学研究所の附属図書館で考古学関係の研究誌のバックナンバーでピュルギ(カエレの外港)の神殿に関する最近の発掘報告を中心に収集を行うかたわら、前4世紀のラティウムの歴史で重要な役割を演じるラヌウィウム(ラヌヴィオ)とウェリトラエ(ヴェッレトリ)の遺跡と考古学博物館を訪れて実地に調査を行った。ミュンヘンでは、バイエルン国立図書館において研究の進捗に伴い新たに必要となったローマ史関係の研究文献を収集した。 3.本研究の基本史料の一つであるリウィウス『建国以来のローマ史』の第2ペンターデ前半部分(第6〜8巻)の翻訳を進めており、4月上旬には完成させる予定である。 4.前4世紀初頭を中心としたローマとエトルリア南部およびラティウムの諸国家との関係、更に同時期のローマと西地中海世界の関係を考察する上で重要な「ローマ=カルタゴ条約」に関する研究文献をこの1年でほぼ網羅的に収集した。現在、条約に関する研究史と私見を「研究報告」にまとめるべく準備している。
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Research Products
(1 results)