2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520447
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中野 隆生 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会系, 教授 (90189001)
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Keywords | 西洋近代史 / 社会史 / 都市史 / 都市空間 / 民衆生活 / 都市計画・建築計画 / 住宅 / 日仏比較 |
Research Abstract |
1、パリとその郊外をめぐって重要な役割を果たした社会主義者アンリ・セリエにそくして、両大戦間期フランスにおける都市空間編成の理念、構想、政策、実践にかんする報告を2005年4月に開かれたメトロポリタン史学会創立大会シンポジウム「歴史のなかの大都市」においておこない、これを発展させた論考「膨張するパリとアンリ・セリエ」を発表した。これによって、住宅、街区、都市的広がり(都市ないし都市域)という具合に重層をなす都市空間に切り込んでいく視座と方向性を明確にした。 2、日仏シンポジウム「現代都市発展の社会経済史-民衆生活、移入民、都市空間-」を踏まえた論文集(『都市空間と民衆』(仮題))の編纂を進めつつあり近く刊行の予定である。序章として、近代都市とくに20世紀の都市について、日仏比較をおこなう方法的論考を、成田龍一(日本女子大学教授)とともに執筆しつつある。そこでは、アンリ・セリエを扱った上記論文の省察が生きてくるだろう。 3、2005年8〜9月にパリ西郊シュレーヌの市立古文書館で、シュレーヌ田園都市の建設計画書と国勢調査原簿の調査をおこなった。建設計画書と国勢調査原簿をあわせ参照して田園都市の建設過程を確定すること、国勢調査原簿のデータを利用して住民構成とその変遷などを明らかにすること、以上二つの目的を念頭にデータの収集を実施した。一部は上記論文に役立て、また、田園都市内部の一部区画について解析へ向けた準備作業を進めている。ただ、田園都市全体の把握にはいまだデータの収集が不十分であり、古文書館でつづけるべき作業が残されている。 4、『アソシアシオンで読み解くフランス史』に寄稿した「知識人と社会改良団体」は住宅、都市、社会保障などをついて政策的に貢献したミュゼ・ソシアルを扱っており、本研究に密接な関連を有している。
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Research Products
(5 results)