2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520447
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中野 隆生 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会系, 教授 (90189001)
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Keywords | 西洋近代史 / 都市計画・建築計画 / 社会史 / 都市史 / 都市空間 / 住宅 / 民衆生活 / 日仏比較 |
Research Abstract |
1、20Q4年に開いた日仏シンポジウム「現代都市発展の社会経済史-民衆生活、移入民、都市空問」をベースにした論集『都市空間と民衆日本とフランス』を刊行した。20世紀前半に重点をおきつつ日仏の都市史研究を対比させ、都市空間を核として近代都市史研究の新しい側面を提示することができた。成田龍一氏とともに書いた庁論「空間への眼差しと都市の近現代」では、歴史学にとっての都市空間をどうとらえるのか、地理学の経験に学びながら方法的な考察をおこない、そこから都市空間という概念が多様な質をおびることを示唆した。都市の表象にかんする研究動向も整理する予定であったが、今後の課題として残さざるをえなかった。 2、両大戦間期パリ地方の都市政策を主導したアンリ・セリエにかんする検討は予定通りの成果をうまなかったが、彼が長く市長をつとめたシュレーヌに建設された田園都市の建設過程と住民構成について、データの収集と解析を進めた。前午度につづぐシュレーヌ市古文書館での国勢調査原簿の訓査にもとづく成果であり、その中間的報告として、トラッド3・ラウンドテーブル「ソシアビリテと分節構造」において、口頭報告「シュレーヌ田園都市の住民構成1926〜1936年-パリ郊外の社会住宅をめぐって」をおこなった。ただし、最終的な地平に到達するには、さらなるデータの収集と解析、より広い範囲での多様な史料の渉猟などが求められる。このような検討を踏まえながら、小論「フランスの移民と郊外における暴動」で2005年秋フランスにおける郊外の暴動を論じた。 3、このほか、セーヌ県をこえる広域での行政的変化や都市化の動きを意識した考察は、パリ滞在中に若手専門家との交流を実現したものの、いまだ手探りの状態にある。また、ウェストミンスター大学研究員マーク・クラプソン氏を迎えて、ロンドン郊外の住宅と居住にかんする学術講演会を首都大学東京で開催した。
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