2005 Fiscal Year Annual Research Report
原始古代埋葬姿勢の比較考古学的研究-日本及び旧世界の事例を中心に-
Project/Area Number |
16520461
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福永 伸哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 勝行 (財)大阪市文化財協会, 調査研究部, 企画担当係長(研究職) (70344356)
清家 章 高知大学, 人文学部, 助教授 (40303995)
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Keywords | 埋葬姿勢 / 葬制 / 屈葬 / 屈肢葬 / 伸展葬 |
Research Abstract |
本年度は研究の第2年目であり、引き続き内外の墓葬資料の収集にあたるとともに、埋葬姿勢の地域的、時期的比較をおこなった。代表者福永伸哉は、日本列島において全体としては弥生時代中期から後期に屈肢葬から伸展葬へとおおきな変化が見られるが、関西以西の西日本では弥生後期にはほぼ進展化が達成されるのに対して、伊勢湾岸以東の東日本では弥生後期にも依然として屈肢の習俗が根強く残るという差異を明らかにしつつある。大陸の葬法である伸展葬と縄文的な葬法である屈肢葬が弥生後期にはほぼ伊勢湾付近を境にして対峙することを示しており、その背後には大陸の文化要素や死生観に対する受容度合いの違いが横たわっていると推定した。このことは弥生文化の諸要素に見られる「東西差」ともかかわっている可能性が高いという見通しを持っている。また、福永は先島諸島の墓葬遺跡の現地調査も行い、当地では貝塚時代後期にも屈肢葬をおこなっている事例が多いことに注目した。根強い屈肢の伝統が南島地域に残っている可能性を示唆しており、日本列島の縄文時代の屈葬の系統を探る手がかりの一つになると推定している。これらの成果は、平成18年中に論文として公表される予定であるが、掲載誌の刊行時期がなお明確ではないので、本年度の成果論文の欄には示していない。岡村勝行、清家章は、韓半島の墓葬遺跡の事例を現地調査するとともに現地研究者と意見交換をおこない、韓半島においては当該研究がほとんどおこなわれていないこと、韓半島と倭の文化系統をとらえる場合に有効な視点となるであろうことなどを理解した。また、岡村は欧米における当該テーマの研究史について、清家は古墳時代後期における性別と葬法の相関関係についてそれぞれ検討を進めた。
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Research Products
(3 results)