2004 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
16520471
|
|---|
| Research Institution | Paleological Association of Japan Inc. |
|---|
Principal Investigator |
桐山 秀穂 財団法人古代学協会, 古代学研究所, 助手 (90311282)
|
|---|
| Keywords | 九州地方 / 東海地方 / 縄文・弥生時代 / 磨石 / 敲石 / 植物質食料加工 / 硬質対象 / 軟質対象 / 工具 |
|---|
| Research Abstract |
九州地方・東海地方の縄文・弥生時代の磨石・敲石の調査を行い。これまでの調査の蓄積とあわせて検討した。この結果、近畿地方以西の西日本については形態分類と各形態の時間的・空間的分布の概要を把握することができた。そして西日本における磨石・敲石のおおよその変遷を描くことができた。また、東日本についても磨石・敲石の変遷と地域性について一定の見通しが持てるようになった。
磨石については磨面の形状について平坦面状と凸面状に大別し、凸面状磨面をさらに外湾曲面状、球面状、長球面状などに細分した。また、これを重量分布やセットとして推定される石皿の形態、その遺跡ごとの様相を比較検討した。その結果、平坦面状磨面の磨石と凸面状磨面の磨石ではそれぞれ特有の重量分布・形態変化が認められ、機能的な差違と考えることができた。これらとセットになる石皿は基本的には使用面が平坦面状の石皿であるが、これに加えて深いくぼみのある石皿がある。この石皿には凸面状磨面の磨石がセットとなり、微粉化に特化した形態と考えられた。そして縄文後期の磨石・石皿のセットについて中四国・近畿地方では特に微粉化を志向しているのに対し、九州地方では殻割り・粗挽きを志向しているといえ、地域性を指摘することができた。この背景には植生とそれに基づく食料加工技術の差異と考えられた。ただし、文化的系譜の側面や社会的側面の検討が課題として残っている。
敲石については敲打痕に伴う摩耗痕の有無から敲打対象の硬質か軟質かを区別する見通しを立てた。そして石器製作にかかわる敲石について縄文後期には棒状礫を使用する九州・東日本と円礫・亜円礫を使用する中四国近畿という地域性を指摘することができた。この背景には石器石材の種類とその形態が要因とみられる。
|
