2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国南部における高齢者の流入と居住地選択に関する研究
Project/Area Number |
16520481
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
菅野 峰明 埼玉大学, 教養学部, 教授 (10114208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 誠 神奈川大学, 外国語学部, 助教授 (40367248)
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Keywords | 高齢者移動 / リタイアメント・コミュニティ / フロリダ州 / 人口移動 |
Research Abstract |
アメリカ合衆国南部への高齢者の流入はフロリダ州とテキサス州において顕著である.そこで,本研究では,これらの州への高齢者の流入要因を,定住先の気候環境と社会経済的環境そしてレクリエーション環境の考察及び高齢者によるこれらの環境の評価から考察する.昨年度の研究において,フロリダ州ではフロリダ半島の東海岸と西海岸に,テキサス州においてはメキシコ湾岸に高齢者の居住する地区が多いことが分かったので,本年度はフロリダ半島の西海岸と東海岸において高齢者の流入が多いカウンティを選び,そこで高齢者向けに開発されたリタイアメント・コミュニティで2005年9月に現地調査を行った. 西海岸のタンパ都市圏内にあるリタイアメント・コミュニティのサン・シティ・センターで付属施設,コミュニティ内のクラブ活動等の調査と住民を対象にしたアンケート調査の結果,このリタイアメント・コミュニティを選択した理由として一番多かったのは,温暖な気候(72%),次いでフロリダのライフ・スタイル(71%),犯罪の少なさと安全性(34%),生活費の安さ(26%),親類への近さ(24%)と続き,これまで言われてきたことがほぼ裏付けられた. かつてフロリダ州で高齢者比率が高かったマイアミ大都市圏では高齢者の純移動率が減少に転じてしまった.これは,フロリダ州の南東部から半島西部への移動のためである.それはヒスパニック系が増加して犯罪率が高くなったマイアミ大都市圏から安全性が高くレクリエーション施設の充実した半島西部のリタイアメント・コミュニティへの移動と関係している.この移動はさらに,大都市圏におけるアパートやコンドミニアムの居住から戸建て中心のリタイアメント・コミュニティへの移動ということにもなる.
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