Research Abstract |
本研究の目的は,インターネットおよび携帯電話を用いた地域情報発信の現状を実証的に把握・分析することである.本研究では,ホームページの系統的な検索によって基礎データを作成して地域情報発信の全体像を把握した上で,個々のサウェブイトの内容分析や発信主体へのアンケート調査・ヒアリング調査などを通じて,地域情報の作成と発信の実態,ならびに,その効果と地域への影響を把握しようとした.本年度は,地域情報発信の代表的主体である地方自治体について,北海道道東地方,石川県,長野県,東京都都下部,大阪府府下部,大分県内の市町村を対象として実施したアンケート調査,および特徴ある事例についてのヒアリング調査に基づいて分析作業を進めた.その結果,(1)公式サイトの開設時期に関して,市町村規模とサイト開設の早遅には明確な関係がみられず,規模の小さい町村であっても,非常に早くからこれに取り組んだものがかなり見られること,(2)地方自治体がサイトを開設する目的には地元住民向けと外部向けとがあるが,後者を重視するのは小規模な自治体が多く,そうした市町村規模による差は,災害情報の提供や外国語への対応にも見られること,(3)政府が2001年に打ち出した電子自治体の構想では,電子申請による窓口業務のオンライン化が強調されているが,現実には電子自治体の実現はそう進んでいるわけではなく,市町村規模による差も大きいこと,等が判明した.こうした成果の一部は,6月にオーストラリアで開催された国際地理学連合地域大会において発表した. なお,本年度は最終年度であるので,上記の他,これまでに行った(1)全国の商店街が開設するサイトの状況,(2)インターネット通販の現状と過疎地域振興との関わり,(3)携帯電話の位置情報を利用した地域情報発信の現状と可能性,等についての研究成果を取り纏め,最終報告書を作成した.
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