2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会における法律専門職の役割とその機能に関する比較法史的研究
Project/Area Number |
16530011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三阪 佳弘 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (30219612)
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Keywords | 法律専門職 / 弁護士 / 代言人 / 近代フランス司法制度 / 近代日本司法制度 / 地域社会 |
Research Abstract |
本研究は、地域社会における法律専門職の役割と機能を軸にして、日本の紛争解決のあり方について、より広い比較法史的視野のなかでその個性を明らかにすることを目的としているが、今年度は、その準備として、(1)長期統計資料等の収集分析を通じて、道府県・主要都市レベルでの法律専門職の地域分布状態を明らかにすること、(2)一定の地域社会における訴訟をめぐる法律専門職の活動を軸にして、その地域社会の紛争処理に関わる人々の役割と機能を、一つのまとまりとして明らかにすることについて作業を進めた。(1)について、近代日本に関しては、各都道府県弁護士史、司法省内部統計資料(国立公文書館所蔵『司法一覧』等)、近代フランスに関しては、東京大学経済学部図書館所蔵のフランス司法統計年鑑の収集整理を行った。(2)について、大津地方裁判所彦根支部をフィールドと定め、裁判所判決原本から、彦根地域の代言人・弁護士層およびその周辺部を構成する「代人」層(代言人・弁護士資格を持たずに、法的サポートを業としていたと見られる層)のデータ化作業を行った。今年度は、明治8年から明治22年までの判決原本から、代言人・代人のデータ化を完了した。さらに、19世紀後半のフランスの法律専門職のあり方との比較分析については、近年フランスにおいて急速に解明が進んでいる近代弁護士研究に関する文献資料を収集するとともに、19世紀後半から20世紀前半にかけて出版された弁護士制度関係図書資料の収集を行った。なお、近代日本の法律専門職についての中央政府レベルでの政策動向を分析した研究成果として、法律専門職養成制度、ならびに近代日本の司法行政の集権的特質について論じた『日本の裁判所--司法行政の歴史的研究』(共著書、2004年、晃洋書房)を発表した。
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Research Products
(2 results)