2005 Fiscal Year Annual Research Report
公法学の視点からみた多元主義と国家の中立性についての複合的研究
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16530020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 典之 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70203247)
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Keywords | 憲法 / 基本権 / スポーツ法 / 国家の中立性 / 多元主義 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に行ったドイツ国家学・ヨーロッパ人権論の研究成果を基にして、国際化・グローバル化が叫ばれる今日における人権の保障状況についての研究を、平成17年9月に開催されたドイツ・バイロイト大学ヨーロッパ法・法文化研究所での国際コロキウムにおいて報告すると共に、さらに文化領域での国家の中立性を多元主義モデルで構築するドイツ・ヨーロッパのスポーツ助成との関係での問題を検討し、文化政策的な領域での人権論の果たすべき役割とそのための解釈学的視座をえる研究に従事した。その一端は、平成17年12月に早稲田大学で開催された日本スポーツ法学会第13回大会での基調講演という形で報告するに至っている。なお、そのために、本年度は、ドイツ・ヨーロッパの基本権論およびスポーツ法、文化政策論に関する文献を購入すると共に、イギリス・ロンドン大学・大英図書館ならびにドイツ・ミュンヘン大学・バイロイト大学において文献資料収集を行った。 また、研究成果としては、昨年度に行った日本での思想・良心の自由や信教の自由、政教分離原則との関係での、個人の精神活動に関連する国家活動の中立性、精神領域での多元主義をどのような形で憲法論・人権解釈の実体論としてこれまでは展開してきたのかという議論のまとめを雑誌論文という形で公表すると共に、社会における多元主義的な利益・意見を調整・解消するプロセスによって統一的な意思形成がなされ、そのような政治過程を通じて政治的統一体としての国家が形成されるとするドイツの多元主義社会モデルに依拠した憲法観に基づく公法理論の新傾向を主張した憲法学者の追悼に関連するドイツの文献の翻訳を、日本でのそのような理論の受容の可能性に関する検討を「あとがき」という形で補足した雑誌論文の形式でやはり公表するに至っている。
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Research Products
(4 results)