2007 Fiscal Year Annual Research Report
公法学の視点からみた多元主義と国家の中立性についての複合的研究
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16530020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 典之 Kobe University, 法学研究科, 教授 (70203247)
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Keywords | 憲法 / 基本権 / 比較憲法 / ヨーロッパ人権 |
Research Abstract |
本年度は、研究期間最終年として、これまでに行った研究の総括的な研究内容について、「立憲主語と憲法パトリオティズム-多元主義とコンセンサスの調和をめざして-」という題目で、従来の国民国家の所与性に対する疑問の提起と多元主義的社会における「立憲的意味の憲法の下での政治共同体」のあり方について、ナショナリズムではない、憲法による政治共同体の形成と市民の憲法に対する愛着の問題を、一定の価値に根ざしたわけではない中立的な立場からの憲法パトリオティズムという見解に即して考え直すという報告を日本公法学会において行った。また、同時に年度末には、早稲田大学での日独シンポジウムにおいて、「Der Wandel der japanischen Grundrechte im Zeichen der Globalisierung」とのテーマで、グローバル化が叫ばれる世界の情勢に併せて日本で発生した状況に対応する人権・基本権の変化についての報告を行った(ドイツ語使用)。 以上の総括的な研究報告と共に、昨年度までに行っていた本研究と関連する個別領域での研究成果について、家族生活という個人のプライベートな問題に関わるヨーロッパ人権の判例研究、および、国家の文化的中立性に関連して、文化助成のための資金調達の方法の-つとなる国家による賭博独占の憲法上の問題に関するドイツ連邦憲法裁判所の判例研究について、それぞれ関連する判例解説書への最終原稿を投稿し、校正を終了して、後は公刊を待つのみとなっている。
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Research Products
(4 results)