2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530031
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山形 英郎 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (80222363)
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Keywords | 単独行動主義 / 自衛権 / 人道的干渉 / アフガン戦争 / コソボ / 同時多発テロ / 人間の安全保障 / 保護責任 |
Research Abstract |
冷戦集結以降、コソボ人道的干渉やアフガニスタン戦争、そしてイラク戦争のように、米国による単独行動主義が、顕著である。個別国家が武力行使を行う際には、自衛権で正当化するか、あるいは国連の強制措置の一環であると正当化するしかない。アフガニスタン戦争の場合は、自衛権で正当化された事例である。この件に関して、国連憲章第51条に照らして、合法化できるのかどうかが問題となる。同時多発テロが、アフガニスタン国家による武力行使といえるのか、そして緊急性や均衡性の要件を満たしているかどうかが中心問題であるが、どの要件をとっても満たされているとはいえない。自衛権行使の要件について、研究を重ね、論文としてまとめた。近日中に公表される予定である。 近年、武力行使単独行動主義に関連して、人間の安全保障という概念が登場している。これは、安全保障という概念を国家の安全保障から人間の安全保障にパラダイムシフトするものであるといわれており、国際法に対する大いなるチャレンジを示すものともいわれている。そこで、人間の安全保障の国際法上の意義を確定することが必要になる。しかし国際法上、様々な人権で説明することは可能であり、人間の安全保障が独自の意義を持つものと見ることはできない。もしも独自性があるとすれば、それはカナダの「保護責任報告書」が示すとおり、人道的な目的のために、他国が武力を用いても介入することを擁護する理論であることである。つまり、人間の安全保障も単独行動主義を擁護する理論でしかない。また、人間の安全保障という概念が国連安全保障理事会でも利用される可能性があり、その結果、安全保障理事会が人権や開発問題にまで関与することができることになってきた。しかし、人間の安全保障のグローバルガバナンスのために、安全保障理事会がもっとも良い機関であるとは思われない。人間の安全保障を、単独行動主義を排除することができるような理論に組み直していく必要があるのである。これについては、「国際法への挑戦:『人間の安全保障』」と題する論文を参照されたい。
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Research Products
(2 results)