2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530031
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山形 英郎 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (80222363)
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Keywords | 国際法 / 国際連合 / 単独主義 / 武力行使 / 自衛権 / 武力攻撃 / テロ / アフガン戦争 |
Research Abstract |
個別国家による武力行使の単独主義が横行している。国連安全保障理事会の受験なく、武力行使が行われた最近の例としては、1999年のコソボ人道的干渉、2001年のアフガン戦争、2003年のイラク戦争である。しかし、国連憲章第2条4項で武力行使は一般に禁止されている。その例外として、国連憲章自身が認めるのは自衛権である。その自衛権を根拠に、アメリカ合衆国はアフガン戦争を遂行した。しかし、国連憲章第51条が規定する自衛権には、要件として「武力攻撃」の発生が規定されている。同時多発テロを武力攻撃と見なすことができるのかが問題となるが、私人の行為を、国家による武力攻撃と見なすことはできない。また、均衡性や必要性の要件も満たしていない。政府を転覆することまでも、自衛権で認められているとはいえない。また、1ヶ月近くたってからの自衛権行使も必要性を満たしているとは思われない。自衛権の行使が遅れた例としてフォークランド紛争が挙げられる。この事例は、領土紛争から生じたもので、自衛権を行使したイギリスが領域権を保持しているとすれば、自国領土の奪還行為は、自衛で説明できる。たとえ遅れた行使であったとしても、自衛権で説明可能である。しかし、アフガン戦争では、そのような領域紛争は存在しておらず、遅れた自衛権は、必要性の要件を満たしているとはいえない。この問題は、「対テロ戦争と自衛権」と題して、中逵啓示編『アジア太平洋コミュニティは幻想か?』(ナカニシヤ出版より2006年5月出版予定)に収録される。 その他、近日中に発表される業績としては、「国際法における『形式的法源』と『実質的法源』」松井、木棚、薬師寺、山形編『グローバル化する世界と法の課題』(東信堂より2006年3月出版予定)、「国際裁判所の多様化」『国際法外交雑誌』104巻3号(2006年3月)がある。
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Research Products
(1 results)