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2007 Fiscal Year Annual Research Report

親権は果たして強いのか-家族に対する国家の介入の根拠とその基準

Research Project

Project/Area Number 16530053
Research InstitutionKyoto Sangyo University

Principal Investigator

山口 亮子  Kyoto Sangyo University, 法学部, 教授 (50293444)

Keywords親権 / 子どもの権利 / 子どもの利益
Research Abstract

アメリカにおける親権の強さと子どもの利益の国家的保障の均衡について:
アメリカで親権法・監護権法が発達してきたのは、親側からの州法に対する違憲の訴えによる憲法訴訟によるところが大きい。州法が子どもの利益を守るため親の権利を制限するのに対し、親はその制限の違憲性を争うことで立法を書き換えてきた。立法は子どもの利益と親の権利のバランスを取りながら発展してきたのである。翻ってわが国において、現在問題となっている児童虐待や離婚後の親権に関する問題を指摘するにあたって、日本法の親権は強いと主張されがちである。しかし何を根拠として強力であるのかは果たして明確ではない。アメリカを始め欧米では親権は民法のみならず国家との関係で語られており、多くは親の権利を憲法上の権利として保障している。親の権利は確固とした性格を持ち、根拠付けも明らかであって、強力な権利性を示している。しかし同時に国家は子どもの権利にも配慮しており、国家が子どもの利益や福祉を保障する強い政策あるいは法律をもっているため、親の権利は均衡を保っているのである。わが国では国家が積極的に子どもの利益や権利を保障する枠組みをとっておらず、親の自律性に任せ国家の不介入を貫いているため、子どもの権利は保障され難い。日本では親権が強いのではなく、国家の法政策が弱いのであり、今後子どもの利益と権利を中心とした家族法を改正していく必要がある。
ただし、子どもの権利と子どもの利益の相違は諸外国でもいまだ明らかではない。特にアメリカでは、国家は子どもの利益は保障し得ても子どもの権利を正面から認めているかは否かは明らかではない。単に子どもの利益を権利と言い換えるのではなく、親の権利に対抗しうる子どもの権利概念の構築を解明していくことが今後の課題である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2007

All Journal Article (6 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 面接交渉の実施にあたり,第三者を介在させることを命じた事例2007

    • Author(s)
      山口亮子
    • Journal Title

      判例タイムズ 1241

      Pages: 52-56

  • [Journal Article] Ih re marriage of bates, 819 N. E. 2d 714(I11. 2004)-監護権変更事件において,子どもの代理人に反対尋問を禁止した規定の適用違憲,専門家の科学的証言採用の可否,および子どもに対するインカメラ事情聴取の是非が争われた事例2007

    • Author(s)
      山口亮子
    • Journal Title

      アメリカ法 2006-2

      Pages: 383-388

  • [Journal Article] 面接交渉の取り決めについて2007

    • Author(s)
      山口亮子
    • Journal Title

      季刊教育法 153

      Pages: 72-77

  • [Journal Article] 子を奪取した父に対し母への子の引渡を命じた四事例2007

    • Author(s)
      山口亮子
    • Journal Title

      民商法雑誌 136-1

      Pages: 140-157

  • [Journal Article] 子どもの権利2007

    • Author(s)
      山口亮子
    • Journal Title

      小児保健研究 66-2

      Pages: 167-170

  • [Journal Article] アメリカ法における親の権利と監護権-親の権利をめぐる立法と司法の政策2007

    • Author(s)
      山口亮子
    • Journal Title

      民商法雑誌 136-4・5

      Pages: 561-594

  • [Book] 新家族法実務体系2山口亮子「面接交渉の権利性と家族性」(分担318-332)2007

    • Author(s)
      若林昌子・床谷文雄編, 山口亮子, 他著
    • Total Pages
      722
    • Publisher
      新日本法規

URL: 

Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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