2004 Fiscal Year Annual Research Report
東中欧諸国の政治発展のヨーロッパ史への統合-政治体制・政党制・政治動員
Project/Area Number |
16530076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 武 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90238361)
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Keywords | 東中欧 / 政治発展 / 政治体制 / 政党制 / 政治動員 |
Research Abstract |
本研究は、東中欧諸国(ハプスブルク君主国とその継承諸国を中心とする)の歴史を政治学的に分析する幾つかの方図を探り、これを通して現代政治学がこれまでに描いてきたヨーロッパ全体の歴史像に当該諸国の歴史をも位置づけることを目的とし、具体的には、1)議院内閣制化と選挙権拡大の観点から見た政治体制の民主化、2)農民政党を中心に見た政党システム形成、3)ハンガリーを事例とする農民と労働者の政治動員のそれぞれの過程を政治学的なアプローチを用いて分析することを意図している。 上記の目的に沿って、当該年度には必要な文献資料(単行本・博士論文・雑誌論文)の収集に努め、現在その整理・分析を行っている。予定していたマイクロ資料の購入が当該年度中に実施できなかったため、上記テーマ3)に関する20世紀初頭のハンガリーにおける労使紛争の統計分析の作業は中断を余儀なくされたが、その代わりに雑誌バックナンバーの購入と精力的に行った国内の文献・雑誌所蔵機関での文献資料収集とによって上記テーマ1)2)についての予備的な考察を進めることができた。最終的には社会連合アプローチの適用を目指しているテーマ1)に関しては、その前提として、1860年代から第一次世界大戦前までのハプスプルク君主国の、共通制度・シスライタイニア・ハンガリーの3つのレヴェルにおける政治制度面での発展の隘路についての中間的な考察をまとめつつある。テーマ2)3)に関しては、ハンガリーとの比較対象として予定しているチェコ・ポーランドのうち、ガリツィア(ポーランド)地方における農民政党研究の蓄積の薄さに困惑させられているものの、チェコ農業党の豊富な研究蓄積に助けられて、農民の政治動員と農民政党形成に関する考察を進める準備を整えつつあり、さらにドイツやオーストリア(世襲諸邦)にまで視野を広げながら比較考察を進める予定でいる。
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