2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代イギリスにおける政党概念の生成と変容に関する政治思想史的研究
Project/Area Number |
16530079
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岸本 広司 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (20186216)
|
Keywords | 近代イギリス政治思想史 / 政党 / 徒党 / オーガスタン時代 / ジョナサン・スウィフト / 諷刺 |
Research Abstract |
本研究は、近代イギリスにおいて政党(party)の概念が歴史的にどのように生成し、いかなる意味を付与され、どのような概念変容を遂げながら政党政治の成立に寄与したかを、オーガスメタン時代の文人や政治家たちの言説を取り上げて、時代の言語慣習や歴史的コンテクストを重視しつつ政治思想史的に解明することを目的とする。 この目的を遂行するために、本年度は、まず関係図書を購入するとともに、国立国会図書館、早稲田大学・慶慮義塾大学・東京大学・関西学院大学などの各付属図書館へ出張して資料収集を行った。また、研究補助員に依頼して、Eighteenth Century Collections Onlineからの政党および政治史に関する第一次資料の取り込みを行った。 以上の準備を経たうえで、最初期の政党概念の生成過程を徒党(faction)概念との比較を通して検討した。まず、17世紀後半のオズボーンやハリファクスたちの政治的パンフレットの中に政党概念の原初形態を探った。次いで、オーガスタン時代の代表的な文人であるジョナサン・スウィフトに政党概念がどのように継承され、いかなる変容を遂げたか、またどのような独自の政党概念が形成されたかを、Gulliver's Travelsを中心とする文学作品、The Conduct of the Allies : The Public Spirit of the Whigsなどの政治的パンフレットを通して考察した。その際、諷刺論にも考察のメスを入れ、諷刺に彩られたスウィフトの政党論が、韻文から散文に変わった当時の文学形式や、勃興しつつあったジャーナリズムを媒介としつつ政治的世論形成にどのように寄与したかを検討した。 具体的な研究成果の発表には至らなかったが、本年度の研究計画をほぼ予定通りに進めることができた。
|