2005 Fiscal Year Annual Research Report
イタリア理思主義の政治思想-クローチェ,ジェンティーレとファシズム-
Project/Area Number |
16530083
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中川 政樹 島根大学, 教育学部, 教授 (80032598)
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Keywords | ジェンティーレ / イタリア / 理想主義 / ファシズム / クローチェ |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀後半のイタリア統一からファシズム体制の崩壊にいたる政治過程とB・クローチェやG・ジェンティーレに代表されるイタリア理想主義の政治哲学の生成から衰退の過程とを比較検討しながら、クローチェとジェンティーレの哲学、歴史理論、教育思想の理論的意味と政治とのかかわり、そして、ファシズムに対する両者の対立の理論的解明を行うことである。研究期間の2年目にあたる平成17年度の研究実績は以下のとおりである。 すなわち、今年度は、ジェンティーレとクローチェの思想をファシズムとの関連で研究し、その政治的性格及び政治的意味を明らかにすることを試みた。そのためには、両思想家の共同作業によって刊行された雑誌『ラ・クリティカ』や当時の思想潮流を視野に入れ、理想主義のイタリア思想界での位置の変化を、以下のような計画によって考察した。 1.クローチェ著作における理想主義思想、歴史主義と自由、政治と道徳について、その著作・各種文献による研究を行った。 2.数多く存在するクローチェに関する先行研究を、これまで調査した文献・資料を基に読解を進めた。また,最近の研究に関する補充調査を行った。 3.上記の文献を基に、理想主義思想・歴史主義と自由の問題・政治と道徳に関するクローチェの理論をジェンティーレと比較しながら、先行研究の成果を踏まえて解明と考察を行った。 この研究作業は、まだ多くの課題を残しているが、それらの課題を克服しながら、まとめを行っているところである。近くその成果を雑誌論文として公表する。
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