2006 Fiscal Year Annual Research Report
イタリア理思主義の政治思想-クローチェ,ジェンティーレとファシズム-
Project/Area Number |
16530083
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中川 政樹 島根大学, 教育学部, 教授 (80032598)
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Keywords | ジェンティーレ / イタリア / 理想主義 / ファシズム / クローチェ |
Research Abstract |
イタリア理想主義哲学を代表する思想家、ベネデット・クローチェとジョヴァンニ・ジェンティーレは、20世紀初頭のイタリア文化のあらゆる分野に圧倒的な支配力を行使した。両者は、19世紀末から20世紀前半のヨーロッパにおける政治社会の変動の中で、政治に関与することになり、政治的にも大きな役割をはたした。この両者の理論の類似性と異質性を明確にしながら、ファシズムという政治現象との関連で、両者の思想的・政治的立場を解明することが求められる。 そこで、研究最終年度である18年度は、イタリア建国からファシズム体制の崩壊にいたる過程を理想主義の生成から衰退の過程と対比させながら、クローチェとジェンティーレの哲学、歴史理論の理論的意味と政治とのかかわり、そして、ファシズムに対する両者の対立の理論的解明を行った。 イタリア理想主義という共通の思想的立場から協力者として活動ながら、最終的に敵対的な陣営に属することになった両者の思想的立場の違いを、それぞれの理論の発展のなかに探求した。その詳細は、同年度に発表した論文「クローチェとジェンティーレの知的交流に関する小話」において示したが、クローチエの哲学的理論構築には、ジェンティーレの影響を強く受けたことを明らかにし、ファシズムの台頭を前にその後の彼らの理論的差異の顕現とその拡大が、両者を反ファシズムと親ファシズムという相対立する立場を取らせることになった遠因であることを詳述した。 その成果は、研究成果報告書に纏めたが、同報告書に載せることのできなかった残りの研究成果は今後論文として発表する予定である。
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Research Products
(1 results)