2004 Fiscal Year Annual Research Report
「形成期」アメリカ政治学の「アメリカ化」の内実の学史的研究
Project/Area Number |
16530091
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中谷 義和 立命館大学, 法学部, 教授 (60119542)
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Keywords | 形成期のアメリカ政治学 / 自由民主政 / 多元主義 / 利益集団 / 責任政党 / 政治学のアメリカ化 / 科学主義 / 行政学の独立 |
Research Abstract |
この研究は、平成16年〜18年度を研究期間とし、「形成期(1880年〜1919年)」のアメリカ政治学の「アメリカ化」の内実を学史的に検討し、その内実を明らかにすることを課題としている。 今年度は、その初年度にあたり、「形成期」のアメリカ政治学を学史の脈絡に措定すべく、その概観を得ることとし、「草創期(1880年以前期)」との、また、「形成期(1920年〜1945年)とのかかわりにおいて、この局面の学史的特徴を整理することに努めた。 その結果、暫定的には、「草創期」に特徴的であったプロシア型政治学に依拠したアプローチからの"離陸"がこの局面のアメリカ政治の状況ともかかわって起こり、国家論型政治学と制度論的・歴史学的政治学からアメリカ政治の現状の動態分析の方向を強くし、(1)「利益集団」政治論が浮上している。また、(2)行政学が行政改革と結びついて生成するとともに、(3)政治動態に占める「政党」の役割が注目されることで「責任政党」論が台頭していることを確認した。 こうしてアメリカ政治学は固有の展開をたどりだすことになるが、方法論的には、アメリカ政治の実態を経験主義的に分析し、アメリカ政治の特徴を確認することで、「自由主義」と「民主政」を、あるいは、両者の接合形態を「発見」し、その祖型をつくろうとする課題と結びつき、これが、「展開期」に継承されることになるという展望をもつことになった。 以上の視点から、今年度は、この局面に関する概括的論文を残すとともに、次年度は、個別の研究者に即して、その政治学的営為をたどり、より具体的作業に移ることで「アメリカ化」の内実の検討を深めるという課題を設定した。 なお、この研究期に、「アメリカ政治学会(APSA)」(於・シカゴ)に出席するとともに、専門家の意見聴取と関連資料の収集のためガネル教授(ニューヨーク州立大学)を訪ね、貴重な助言を得ている。また、以上の研究とこれまでの研究とを総合し、単著として、『アメリカ政治学史序説』を出版した。
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Research Products
(4 results)