2005 Fiscal Year Annual Research Report
「形成期」アメリカ政治学の「アメリカ化」の内実の学史的研究
Project/Area Number |
16530091
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中谷 義和 立命館大学, 法学部, 教授 (60119542)
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Keywords | 形成期のアメリカ政治学 / 多元主義政治論 / 政治学のアメリカ化 / 責任政党論 / H.J.フォード / 初期ラスキ / 自由民主政 / アメリカ政治学史 |
Research Abstract |
この研究は平成16〜18年度を研究期間とし、「形成期(1880年〜1919年)」のアメリカ政治学のアメリカ化の内実の学史的検討を課題としている。 平成17年度には『アメリカ政治学史序説』(単著)を出版した。この著書は「形成期」から第2次世界大戦後のアメリカ政治学を通覧するとともに、代表的政治研究者の理論的特徴を整理するという2部から構成されている。日本政治学学界において、アメリカ政治学の通史が存在していなかっただけに、本書は、この状況を補うという点では、それなりに裨益しえたものと思われる。また、この著書によって、アメリカ政治学史に一定の鳥瞰図を得ることができたので、今年度は、「形成期」の政治学の個別研究者の検討に入った。 この局面の政治学の理論的特徴は、世紀転換期から第1次世界大戦への参戦という歴史状況をも背景として、アメリカ政治は動態分析の方向を強くするとともに、「アメリカ国家」の構成原理が鋭く問われだした局面において、(1)人工的近代国家アメリカの特異性と普遍性の原理の措定、(2)「利益集団」中心型多元主義政治論の生成、(3)行政改革論と行政学の成立、(4)全国統合と政府内統合に占める「政党」の機能の分析と「責任政党」論の浮上などに求めることができる。この視点から、今年度は、(1)と(4)にかかわっては、H.J.フォード(1851-1925、第14代APSA会長)のアメリカ国家論とアメリカ政党論について、また、(2)にかかわっては、H.J.ラスキ(1893-1950、マッギル大学-ハーバード大学-LSE)の初期論稿を中心として、その多元主義的政治アプローチとそれがアメリカ政治学に与えた理論的インパクトについて検討した。 次年度は、以上の研究業績を踏まえ、この局面でアメリカ政治学の「アメリカ化」を導いたという点で、W.ウィルソン、W.W.ウィロビー、F.グッドナウなどの政治研究者の業績の研究に移り、「形成期」アメリカ政治学の内実を定めるとともに、『形成期アメリカ政治学』の出版準備に入ることを課題としている。
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Research Products
(3 results)