2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域における多国間国際協力の制度化の条件
Project/Area Number |
16530102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
NOBLE Gregory 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20334261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 淳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90285081)
松原 望 上智大学, 外国語学部, 教授 (20000185)
飯田 敬輔 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (00316895)
鈴木 基史 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (00278780)
稲田 十一 専修大学, 経済学部, 教授 (50223219)
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Keywords | アジア太平洋 / 国際経済関係 / 防衛・安全保障 / 中国 / 朝鮮半島 / 台湾 / ASEAN / 日本 |
Research Abstract |
本研究では、冷戦後の東アジア太平洋地域の国際関係が、ヨーロッパ共同体とNATOの東方拡大と対比して、経済的相互依存関係の進展にもかかわらず政治的・軍事的抵抗関係が存続している原因の解明をめざした。仮説としては、中国が経済市場化、経済開放にもかかわらず、中台、南北朝鮮が異なる政治体制-中国と北朝鮮は非民主的政体のもと-での分断国家であることが、このような政治・軍事と経済の非一貫的分離の原因であると推定して、検証をすすめた。その結果、樋渡由美・松原、樋渡展洋、古城は、日米などの民主国家の政策決定では、政治・軍事と経済問題が個別・独立的に扱われることが、市場経済化した中国との経済関係の拡大と、中国、北朝鮮との政治・軍事的対立の継続とを両立させる国内要因であるとした。分断国家の分析では、ノーブルは中台経済関係の飛躍的増大にもかかわらず、政治関係をめぐり台湾内の対立が激化していることを、モーは、韓国が太陽政策により経済交流と政治・軍事的関係改善の連携を試みたが大きな進展をあげていないことを指摘して、相手国が非民主的国家の場合にその政治的対処をめぐっては民主国内の対立激化の可能性を示唆する。この点、石田淳はアメリカや日本などの中国か北朝鮮の一方に対する警告的対応(シグナリング)が、もう一方の警戒心を継続させることをモデルとして構築する。更に、地域や国際交渉の場でも、鈴木基史は経済自由化交渉が、ハッチは地域経済交渉が、飯田敬輔は国際貿易交渉が争点領域内で交渉され、政治・軍事などの領域に拡大しないことを指摘し、保城は日米のアジア地域構想が経済援助の限定されていたものであったことを歴史的に分析する。以上を通して、民主化が進展しない分断国家の存在がアジア太平洋の経済相互依存の拡大にもかかわらず政治軍事的対抗の要因と考えうることが、民主国の政策決定の特質、非民主国への政策対応、国際交渉での争点管理の点から確認された。
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Research Products
(6 results)