2005 Fiscal Year Annual Research Report
Eu諸国における入国管理/移民政策のパラダイム・チェンジ
Project/Area Number |
16530105
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
梶田 孝道 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (10133357)
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Keywords | 移民 / 外国人 / 移民政策 / 外国人政策 / 入国管理 / 総合 / 国境管理 / パスポート |
Research Abstract |
2年目は、引き続きEU主要諸国の入国管理/移民政策の新たな動向を示唆する最近の文献を集中的に入手し、その検討に作業の大半を費やした。1年目に確認した諸傾向に加えて、新たな知見としては、次のような点があげられる。東欧諸国のEU加盟によって緊張がより東方へと移動し、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ等との境界を通過する人や車が増大し、経済的拡大が見られた。しかし、人の移動に関しては短期間の往来の形をとる行商人等が多く、外国人の入国が定住化につながるという傾向はみられない。他方、南からEUへと移動しようとする外国人が多く、スペインやジブラルタル海峡が新たな緊張の場となり、EU諸国は、とりわけけサハラ以南からの外国人の入国を阻止すべく、中継地であるモロッコとの間で政策協議に入った。スペインに属するカナリー諸島やモロッコ内の飛び地にまず入り、その後、スペイン、さらにはEU主要諸国を目指す新たな移民が増加した。ジブラルタル海峡では、厳しい入国管理が行われており、南の緊張地帯となっている。また、EU諸国内部で、国によって入国政策が異なっており、例えば、非正規の農業労働者が多数スペインに入っている。また、新自由政策をとるイギリスには非正規の労働を利用しようという傾向がみられ、これらの国への非正規外国人の入国が目立っている。このように、EU主要諸国間で入国管理政策・移民政策の食い違いがみられ、新たな問題となっている。他方、定住外国人の問題はフランス等で大きな問題となり、彼らの社会経済的統合が火急の問題となっている。05年11月に発生した移民を含む若者たちの暴動は、その端的な表れである。
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