2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530114
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
宇井 貴志 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (60312815)
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Keywords | ショケ積分 / 非期待効用 / Dempster-Shaferルール / 最尤法ルール |
Research Abstract |
本研究では,不完備情報ゲームの基礎研究と,その金融政策への応用研究を行っている.本年度は主に,金融政策への応用を念頭におき,ショケ積分期待効用理論の基礎研究を行った.ショケ積分期待効用理論は,事前確率をおくことができない事象が存在する場合に応用できる意思決定理論であり,研究代表者らが提案した不完備情報ゲームのフレームワークにより,ゲーム理論に組み込むことができ,さらには金融政策への応用も可能である. 論文"Cominimum Additive Operators"(with Atsushi Kajii and Hiroyuki Kojima)では,汎関数としてのショケ積分に新しい加法性の概念を導入し,それを元に非加法的測度の特徴付けを行った.シュマイドラーが示したように,ショケ積分は,comonotonic additivityと呼ばれる弱い加法性を満たす汎関数として特徴付けられる.本論文では,comonotonic additivityより強い概念であるcominimum additivityを導入し,cominimum additivityを満たす汎関数がショケ積分であること,および,対応する非加法的測度のもつ性質を明らかにした.この結果を用いることで,ショケ積分を用いた様々な非期待効用理論の公理化を簡単に行うことができる. 論文"Equivalence of the Dempster-Shafer Rule and the Maximum Likelihood Rule Implies Convexity"(with Atsushi Kajii)では,ショケ積分期待効用のupdate ruleであるDempster-Shaferルールと,マクシミン期待効用のupdate ruleである最尤法ルールとの関係について調べた.ギルボアとシュマイドラーが示したように,非加法的測度が凸であるならば,そのDempster-Shaferルールは,非加法的測度のコアに関する最尤法ルールと等価である.本論文では,その逆が成り立つこと,すなわち,Dempster-Shaferルールが,非加法的測度のコアに関する最尤法ルールと等価であるならば,非加法的測度が凸であることを証明した。
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Research Products
(1 results)