2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 晴雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (10144396)
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Keywords | 提携形成 / 交渉解 / 交渉問題 |
Research Abstract |
協力ゲーム理論の非協力ゲームによる基礎付けの試みをレビューしながら、理論応用の観点から再検討している。提携形成モデルの非線形効用関数の下でのパフォーマンスを吟味する研究を継続して行い、事前に金銭再配分に関する拘束的な契約が結べるというモデルの枠組では、経路外の条件に対する再配分が無制約となり、かつ、そこでの契約内容が結果に大いに影響することが明らかになった。これをもとに、純粋交渉ゲームの例に用いて、凹性制約を設けた場合の均衡を求めた。結果は、かつてImai&Salonenで示されたようなタフネスによって現される交渉力を契約によって創造でき、結果に影響を与えることを明らかにした。これに対して、提携としてのメンバーによる再配分構造に関する拘束力が事後にまで有効である一方で、いくら事前契約を結んでもそれ自体は拘束力を持たないという対極的ケースを考察している。この場合にも、上述と同様の、交渉力を他者に委託するのと同様の効果が生じることが確認できる。ただし、提携形成に関しては、事後交渉によって結果が決まるために、提携構造の一意性が期待されない、さらに、期待効用解釈に即した場合には非効率性が生じるなどの問題が発生する。提携の多様性の観点からは、ここでの試みは、かなり制約的であると考えられ、状況の一般化が次の課題として浮上している。このほか、応用面において地球環境問題に即しては、ポスト京都に関連して提案されることの多い、京都議定書の制約外にある米中の提携可能性や、セクター事の制約の導入などに関する検討を行っている。また、交渉ゲームモデルに関しては既存の微分モデルとの関連を取り入れた。提携の拘束力のタイミングと非協力ゲーム分析の関係などについての研究の準備を行っている。
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Research Products
(3 results)